文章を書いていても頭から一文前の内容が抜け落ちる

 ワーキングメモリの狭小さは他の特徴に比べてとても際立っています。何かを同時に作業しなくてはいけないシーンはデザイン業ではあまりありません。電話応対をしながらパソコンで違う作業をしたり二台のパソコンで違う業務を行ったり来たりなどとてもではないですができません。電話をしながらメモも取れないくらいですから初めからあきらめています。幸いデザイン業では業務の平行はありますが、作業の平行はほとんどないので助かっています。しかしこのワーキングメモリの狭小さがはっきりと出てしまうのがクライアント様との打ち合わせです。これはデザイン業に限ったことではありませんからお困りの方も多くいらっしゃると思います。

 わたしの場合はとにかくメモを取ることと最後にクライアント様と一通り口頭で確認して終わらせるということに終始しています。メモは可能な限りたくさん書きます。その場で浮かんだレイアウトやイメージカラーなど発想したものと、話の中で挙がった内容のキーワードだけを箇条書きにします。文章で書こうとするとたった数秒かもしれませんが時間がかかりますのでその間は話に意識を向けられないこともあって単語だけをずらっと並べています。

 メモノートも特殊なもので自らデザインしてプリント製本したものを使っています。見開きで使うことを前提として天地左右のマージンをかなり広く取り中央は横線を引いています。横線エリアが打ち合わせ時の決定事項やキーワードなどでその周囲の白いエリアは自分が発想したアイデアやデザインのアプローチなどを記入しています。打ち合わせの内容というのはすぐに記憶から消えてしまいますから、思考と事実を明確にして後からでもわかるようにしています。守るべき決定事項が曖昧になってデザインも的はずれになれば、何を聞いていたんだということになりますので注意しています。