持ち帰って考えるは方便。持ち帰って形に起こすだけ

 クライアント様との打ち合わせでは依頼内容や制作目的などの話がメインです。仕様や見積りなどの実務的なことも議題のひとつですが、デザイナーがお伺いする以上は内容やビジュアルの話がメインの場合が多いです。具体的な演出アプローチやビジュアルもすでに決まっている場合もあれば、説明を踏まえたうえでどういうアプローチでターゲットに訴求するかなど展開度の高い打合せの場合もあります。

 原稿ができていてそれに対して肉づけするのみのご依頼であれば簡単。説明後にデータを頂いて会社に戻って作るだけです。しかし目的は明白なのにデザイン手段がまったく白紙の場合は打ち合わせはとても刺激的でクリエイティブな時間に変わります。クライアント様は私たちにプロとしての意見を求めているわけですから私たちはその場で期待に応えなくてはなりません。これもADHDの特性なのでしょうか、どのようなシチュエーションでも意見を求められるほど刺激的なことはありません。

 重要なのはその場で次々にアイディアをご提案して仕事の具体性をより高めていくことです。 そこで「会社に持ち帰って考えてきます」ではクライアント様はちょっとがっかりするかもしれません。ある程度早めにイメージを持ちたいでしょうし、不安でモヤモヤしているでしょうから、それを少しでも解消して差し上げるべきだと思います。そしてそれはその場で、ということが大切です。なぜその場かというと、せっかくクライアント様と顔を合わせているわけですから、直接のコミュニケーションの中でイメージの共有がしやすいシーンですし具体的に絵やレイアウトをラフ書きしながら共有を進めることで勘違いによる手戻りが減ります。そうなればお互い安心感を持って仕事を進められます。 これはその場の瞬発的な発想力が求められますが、すべてがクリエイティブである必要はまったくありません。むしろその逆でこれまでインプットしてきた引き出しの多さが必要で、これはADHDとは関係なく誰でもが努力で可能なことだと思います。それをADHD特有の思考スピードで展開するようにしています。 頭の体操にもなりますし、クライアント様の意向も誤解することなく反映させられます。